手続の流れ
筆界特定制度の概要
筆界特定登記官による筆界特定の公告・通知
筆界特定登記官による筆界特定
筆界調査委員による意見の提出
筆界特定登記官による意見聴取の期日
筆界調査委員による事実調査(測量、実地調査、資料提出の求めなど)
法務局長・地方法務局長による筆界調査委員の指定
申請人等の意見・資料提出
申請却下
筆界特定登記官による公告、通知
筆界特定登記官による審査、補正命令
筆界特定の申請


1、筆界特定制度とは
  筆界特定制度は、土地の所有権登記名義人等の申請により、筆界に関する外部の専門家である筆界調査委員(弁護士・土地家屋調査士等)の知識経験を活用し、筆 界特定登記官が迅速かつ適正に筆界の特定を行う制度です。

2、筆界特定制度のポイント
(1)筆界特定登記官が主体となる手続き
  筆界特定を行う行政庁は、法務局または地方法務局の長が指定する筆界特定登記官であり、簡易迅速に行政レベルで筆界を明らかにする制度です。

(2)当事者の申請による手続き
   筆界特定の手続きは、当事者(土地の所有権登記名義人等)の申請により開始します。

(3)筆界調査委員の調査・意見提出
  法務局または地方法務局の長が、筆界特定について学識経験のある者から、筆界調査委用を指名します。筆界調査委員は、職権により必要な調査をし、筆界特定登記官に対して  意見を提出します。

(4)筆界特定登記官による筆界特定
  筆界特定登記官は、筆界調査委員の意見を踏まえ、登記記録地図または地図こ準ずる図面(公図)内容、土地の地形、工作物・境界標の有無や設置の経緯など諸事情を総合考慮し、筆界特定を行います。

(5)境界確定訴訟における筆界特定の結果の活用
  筆界特定の制度創設後も、境界(筆界)確定訴訟は存続します。境界確定訴訟において、裁判所が筆界特定手続記録の送付を嘱託することができるなど、筆界特定の結果を活用することができます。
  境界確定訴訟の判決が確定した場合には、筆界特定は判決と抵触する範囲で効力を失います。


 


筆界特定の手続の大まかな流れを説明すると、以下のとおりとなります。

(1)筆界特定の申請
  筆界特定の手続は、土地の所有権登記名義人等が、筆界特定登記官に対し、筆界特定の申請をすることにより開始します(不登法131条1項)

(2)筆界特定筆記宮の審査、申請の却下
  筆界特定登記官は、筆界特定の申請内容を審査します。 管轄違いの場合、申請権限を有しない者が申請した場合、手数料を納付しない場合などには、筆界特定登記官が理由を付した決定で、申請を却下します。(不登法132条) ただし、申請の不備が補正することができる場合において、筆界特定登記官が定めた相当の期間内に、筆界制寺定の申請人が補正した場合は例外となります。

(3)筆界特定登記官による筆界特定の申請の公告・通知
  筆界特定登記官は、筆界特定の申請について、公告し、かつ関係人に対して通知します(不登法133条)

(4)筆界調査委員の指定
  法務局または地方法務局長は、公告及び通知がなされたときは、筆界調査委員を指定します。(不登法134条)

(5)筆界調査委員による事実の調査
  筆界調査委員は、上記(4)指定を受けたときは、必要な事実の調査(測量・実地調査、関係者からの事実聴取、資料提出の求め、登記記録・地図の調査などを行います
  (不登法135条)
  筆界特定の申請人及び関係人は、筆界特定登記官に対し、筆界について意見・資料を提出ができます。(不登法139条)

(6)意見聴取等の期日
  筆界特定登記官は、申請人及び関係人に対し、筆界について意見を述べ、資料を提出する機会を与えなければなりません。
  筆界特定の申請人及び関係人は、筆界特定登記官に対し、筆界特定手続において作成された調書及び提出された資料の閲覧を請求することができます。
(不登法141条)

(7)筆界調査委員の意見の提出
  筆界調査委員は、意見聴取等の期日の後、調査を終了したときは、遅滞なく、筆界特定登記官に対し、筆界特定についての意見を提出しなければなりません。(不登法142条)

(8)筆界特定
  筆界特定登記宮は、筆界調査委員の意見が提出されたときは、筆界特定をしなければなりません。(不登法143条)。

(9)筆界特定の公告・通知
  筆界特定登記官は、筆界特定をしたときは、遅滞なく、筆界特定の申講人に対し、筆界特定書の写しを交付して内容を通知するとともに、筆界特定をした旨を公告し、関係人に通知しなければなりません(不登法144条)

(10)筆界特定手続記録の公開
 筆界特定手続記録は、管轄登記所において保管され、誰でも、筆界特定書等の写しの交付を請求することができます(不登法145条、149条)。